Episode II
走りへのこだわり
最初の状態
本来ならば新車で購入したいところだが、時期的にもはや無理であった。手に入れた個体は、走行距離50,000kmくらい。
最初はもちろんA/Tだったが、印象は悪くなかった。出だしがのろいのは仕方ないとして、一旦速度が乗ればそれなりに気持ちよいという感覚があった。特に高速域では4ドアより安定していると思った(100kgくらい重いからあたりまえ?)。
しかしながら、ちょっとやる気に走ろうとすると、先代HP10とは、全く別のクルマに感じ、A/Tその他ハード的にどこか壊れるのではないかという根拠のない不安が常にあった。
重い。
納車から約2ヶ月後、ようやく先代HP10からM/Tその他の移植が終了した。だがその後もいろいろと移植メニューをかかえており、ちゃんと走る機会がなかった。真剣に走りのことを考えるようになったのは移植後2ヶ月くらい経ってからのことである。残念ながら自分はFHP10の新車の味を知らない。従って、体にしみついたHP10の感覚がベンチマークとなる。
当然ながら、過激なものは求めていなくて、5ドアボディで以前と同じ様に陽気に走れればそれでいいと考えた。
一番気になったのはハンドルの重さ、それにボディの重さ、4ドアに比べ、反応が1テンポ遅れる気がした。しかしながら、意外とボディの緩さは感じなかった。まあ、10万キロ越えのHP10と比べれば当然といえば当然の結果だが。
重量バランスの問題
ブッシュ/アーム類全交換、及びエンジンマウントの交換は必須と考えた。結果、明らかに動きはシャキッとし、直角に曲がった時のブレというか振り子のような感覚がなくなった。だが、足の動きが悪く、リアのストロークが明らかに不足していると思った。おそらく問題は尻下がりの姿勢。元々4ドアに比べリアが重いのだが、M/T化したことでフロントが軽くなり、バランス的にさらにリアヘビーになったと思われる。また、4ドア用のバネを組んだことで、尻下がりはさらに悪化したとみた(汗)
スタビ問題
さらに走り込んでみると、フロントに荷重がかかるタイミングでイヤな音と共に瞬間的に操縦不能に陥った。これは尋常ではないと思い、いきつけのショップに駆け込みジャッキアップしてもらう。原因はスタビだった。
先代HP10には前後にタナベの強化スタビライザーが組み込んであり、FHPにもそのまま移植してあった。しかしながら、フロントが付かないことはタナベのHPであらかじめ確認しており、なぜ付いたのか不思議だった。
その謎は解けた。5ドア用の純正スタビは、4ドア用よりトレッド方向に短い。なぜ4ドア用が付いていたかというと、コンロッドが逆向きにしてあり、無理矢理付いていたのだ(汗)静止状態や普通に走っている時には問題ないが、フロントが沈みこんだ時、サスペンションメンバーと干渉するという現象が起こっていたのだ。その証拠に接触部分が少しえぐれていた(汗)
結果オーライ?
結局、純正スタビは移植の際に処分されていたので、新品を買い直すことになってしまった(汗)だが組んでみるとこれがなかなかいい。回頭性がよくなったのだ。リアだけが突っ張っていてフロントが沈み込みやすくなったことで、フロントに荷重がかかりやすくなった為だと思われる。5ドア用の純正スタビが短い理由もこのあたりに秘密がありそうだ(謎)
純正スプリング
ショックは、エナペタルにオーバーホールに出すつもりだったので、その前にバネを決めたかった。とにかく尻下がりの姿勢をなんとかしたかった。5ドア用の社外バネを探したが、みつからないし、聞いたこともない。
いきつけのショップの人に相談すると、とりあえず純正バネを組んで基準にしたらどうかと提案してくれた。やってみた結果、姿勢は改善されたが、車高の高さが半端ではない。A/Tの時よりも高いのではないかと思われた(汗)だが走ってみると意外に好印象で、乗り心地もいい。だが、当然ながら、ちょっとやる気に走ると腰砕けになった。要するにバネレートが問題。
やはり純正では不満で、姿勢はこのままで車高を2〜3cm落とし、レートが3割くらいUPしたらベストではないかと考えた。
そこで、車高の落ちにくい社外バネを買って、ショックの溝でフロントだけを落としたらどうか、という案が浮かんだ。だが、調べてみると一般的に社外バネというのは車高を落とす目的で買う人が多く、落ちないバネなどほとんど存在しなかった(汗)
kg/mm DR-sports
ショップに行って相談すると、kg/mm DR-sports が一番落ちにくいのではないか、という回答をもらった。早速発注(笑)
組んでみると、結果はすごくよかった。
さずがは、バネ屋はバネ屋!、固過ぎず柔らか過ぎず、乗り心地はこれまでのP10史上最高であった(笑)
なんというか、足首やヒザの動きは柔らかくて、それでいて筋肉はしっかりついているというアスリートみたいな?
こいつの場合、適度なロールを伴った。4ドアの時はロールがイヤでそれなりに足を固めていて、リアがイってしまっても『ままよ』という感じであったが、ケツの重い5ドアでは、リアがイった時のフロントの喰いつきがあまく、ヤバいなという印象があった。むしろ、適度なロールがあったほうが挙動がわかりやすくて、速く走れるのではないかとさえ思った。
そういう意味では、このしなやかなバネは非常に好印象だった。
だが、いい時は長く続かなかった。馴染んできたらリアが下がり出したのである(汗)またしてもリアのストローク不足に悩まされる結果となった。好印象であっただけに非常に残念。リアだけあと1巻きあったら、これが決定版となったハズ?
しかしながら、適度に流す程度の走り方をする人で4ドアだったら、オススメできるバネではないかと思う。
アイバッハ
単純な発想だが、リアを落ちないようにするには、リアのバネレートを上げる必要があると思った。探したら出てきた。それはアイバッハ。P10用の社外バネのほとんどは、リアのレートはフロントより低いのだが、こいつの場合、逆だった。ショップの人はそこが日本とヨーロッパの考え方の違いだと言うが、その時自分には理解できなかった。まあとにかく、リアのレートが高ければ、おそらくいい方向にいくだろうと思い、即発注。
なんだろ、これは。装着してみると、想像とまるで違っていた。みためは車高が適度に落ち、今までで一番いい感じだったが、走り出すと固い。なんというか、エボ系というか、内蔵にくる固さ(汗)フロントはkg/mmよりレートが低くむしろ純正に近いハズだが、そんな程度には思えない。それにハンドルがやけに重い。結局、半日ももたなかった(汗)ヨーロッパのバネだから馴染んでくればしなやかになるものと思われるが、それまで待てなかった(苦笑)あとでこのバネを買ってくれた人の話を聞くと、そんなに固くはないと言われるので、たまたま他とのからみでこういう結果になったと考えるべきだと思う。
Tanabe GF-210
いよいよネタがきれた。Mっちゃんに相談すると『新素材系のバネってなかなかいいですよ!!』とタナベの GF-210 をすすめてくれた。タナベとは長いつきあいだし、スーパーHとレートは変わらないので、悪くても振り出しにもどるだけだと考えた。
残りの選択肢は車高調くらいしかなかったので、費用のこともありこれで終わりにしようと思った。
あとは、エナペタルにすべてを託した。『バネは GF-210、重いホイールを履く、FHP10のセッティングで頼む』という感じで。ちなみオーバーホールも内容によって差があり、項目が増えれば高くなると聞いたので、結局古いのを売り飛ばして新しいのを買うことにした。
悪くてもそのまま乗ろう、と半分開き直っていたが、結果はよかった。スーパーHよりもしなやかになっていた。乗り心地は kg/mm より劣るがいい感じ。リアもそれほど落ちなかった。ちなみに3年ほど経った現在でも車高はほとんど変わらない(走ってないせいもあるが)。これでようやく決着がついた(涙)
足回りは難しい
いやしかし、約1ヶ月半の間にバネ4セット交換、って一体。。まあ、自分が未熟者であるという証拠でもある(汗)
もちろん、足回りの好みは人それぞれで、装着するクルマや個体差(他のパーツとのバランス)によって当然変わる。
ここに書いたことは、参考にしないほうが無難ということで。
それにしても、流用できるパーツが多いとは言え、4ドアと5ドアの違いはあまりにも大きかった(汗)
タイヤとホイール
足回り問題がようやく決着した頃、タイヤはつるつるだった。4ドアに比べ重いというコンプレックスがあり、タイヤは迷わず軽量なP7000の続投を選択。ここでなんと軽量ホイールに手を出す(汗)レイズのSE37K。ブロンズ以外の色を頼むと数ヶ月かかるかも?と言われ、つるつるのタイヤだったので仕方なく承諾(苦笑) みためはやはり微妙だった(汗)走りについては、出だしや身のこなしはそれなりに俊敏になった気がしたが、高速域の伸びや安定感は今ひとつに感じた。要するにバランスが悪い。最終的に7ヶ月くらいでMOMOに戻している(2本だけ曲がっていたので、英国から個人輸入)。まあ、結局、走りはどうであれ、MOMOのデザインが好きだったということが一番大きい。ちなみにタイヤは、ミシュランのパイロットプレセダで、これも今のところ決定版。
リアスポ外し
みためのこともあるが、とにかく軽量化したかったので、リアスポを外した。4ドアの時と同様、これも正解だった。一気に身のこなしが軽くなった。唯一の弊害はトランクが締まりにくくなったこと。ちなみに後席のドアを開けておいてから閉めれば、問題はない(爆)あと、ついでに、北海道の某氏によればA/T専用部品とされるボディダンパーも軽量化のために外している。
これだけやってようやく普通に走れるようになったように思う。中古車は大変やっかいなものだということも理解した(汗)
エンジン
エンジンに関しては手を入れていない。吸排気系その他の交換で、特に不満はない状態にはなっている。しかしながら、HP10の時の1型のエンジンが自分にはベストであり、今でもあの感覚が忘れられない。


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