Power Mac 6100/66
数年後
家の事情で東京から実家に戻り、プリを買って2年ほど経った頃、自分のパソコンが欲しいと思うようになった。
その頃、日本ではDOS/V機の登場で、PC98シリーズによる鎖国は解かれ、パソコンの低価格化は進んでいた。
しかしながら自分が欲しいと思っていたMacintoshは相変わらず高価だった。しかも、当時のApple社のラインナップときたらかなり複雑になっており、ノート関係を除いても10種類以上あった。なんだかよくわからなかったので、パソコン雑誌などを買いあさり調査を開始した。
PowerPCの登場
ある時、大変なスクープが飛び込んできた。それは、CPUの変更である。これまでCPUには Motorola製680x0を採用していたのだが、IBMと共同開発した32ビットCPU『PowerPC』にシフトするというのだ。ちなみに 680x0系列は、68040で技術的な限界に達したということらしい。
しばらくして、PowerPCを搭載した新しい機種が登場した。当時の資料によれば、68040チップ搭載のMacintoshと比較して2倍から10倍の速度と発表されている。しかしながら、CPUが変更されて速くなったのはいいが、変わったばかりのハードではなにかと心配だったし、今までのソフトはエミュレーションで動かすという話だったので、買うのは少し様子を見た方がいいと思った。
購入決定
半年くらい待つと、OSとマシンのマイナーアップデートが行われた。自分が目をつけていたのは中級機6100型だったが、クロックは1割UPの66MHz、メモリは8MB>16MB、HDDは250MB>350MBとそれぞれ変更され、当時としては満足のいくものだった。ソフトもPowerPCのネイティブコードで走るものが増えてきたので、買いだと思った。
しかしながら相変わらず値段は高く、落ち着くまで少し待とうと思った。おそらく2ヶ月くらい待ったと思う。出た当時35万円くらいだったのが30万円くらいになったと記憶している。これで手を打つことにした。ディスプレイについても Apple製は値段が高く、それよりもキレイに見えたナナオの17インチディスプレイに決定(これもそれなりに高価だったが)。キーボードも別売りだったので、純正より安くてコンパクトでしかも、十時キー(カーソル移動キー)が自分好みの配置のものを選んだ。
G1?
これでようやく念願の Macintoshを手に入れたわけである。モデル名は、Power Mac 6100/66といい、CPUは PowerPC601(66MHz)を搭載していた。今の言い方をすれば、G1(GENERATION ONE)にあたる。フロッピードライブの下には『PowerPC』と誇らしげに書かれていた。
ボディはピザボックス型と言われる非常にスマートなもので、非常にかっこよかった。ちなみに、薄型ボディとしては最後の機種となる。約10年後の今でもファンは多く、CPUやインターフェースなど、中身を新しいものに入れ替えて使い続けている人もいるようだ。
ファーストインプレッション
Macの使い心地は非常によかった(この頃から一般的にMacと呼ばれるようになったような気がする?)。 操作はこれまでのコマンドベースのものとは比較にならないくらい簡単で、まさに買ったその日から使えるという感じだった。すべてのソフトはガイドラインに沿って作られており、マニュアルを読まなくてもある程度使えるようにできていたし、ヘルプを見ればガイドが出てきた。システムを意識させないユーザーインターフェースは、パソコンというよりも道具という感じが強く、直感的な操作が可能で、システムの存在を意識する必要がなかった。従って、初心者には最適ではないかと思った。
Windows95の登場
日本では、MacはクリエーターやDTP関係にユーザーが多かったものの、一般的にジネスパソコンとしては、MS-DOSやWindowsを使う人がほとんどだった。PC-98からの流れで、『一太郎』『Lotus 1-2-3』『dBase』などのソフトを使い続ける人が多かったのもその要因のひとつかもしれない。
そして、ちょうどその頃、Windows95が発売された。発売のカウントダウンとかが行われ、大変な大騒ぎになったが、我々Macユーザーは、冷ややかに見ていた。当時の雑誌に機能比較記事が出ていたが、ほとんど初代Macintoshが11年前に実現したことばかりだった。ゴミ箱までパクられていたのには驚いた(苦笑)
Microsoftにはいいイメージがない、MS-DOSはそもそも他社(Seattle Computer Products社)から買ったものだし、そしてWindowsはMacのパクリ。商売上手だということは認めるが(汗)
その後
いつのまにか、Macの世界にどっぷりつかり、いろいろと追加した。拡張性は高くない薄型ボディだったが、NuBusスロットという拡張スロットが用意されていた。そこにAVカードを追加すると、VRAMが2M増えてすべての解像度でフルカラー、Sビデオとコンポジット入出力ポートが増えた。当時、Hi-8のビデオカメラを買ったこともあって、映像を取り込むのに重宝した。
メモリは16M追加、外付けHDD(1GB)、Panasonic PD(650MBリムーバブル光学ドライブ)、プリンター、スキャナー、と周辺機器も知らぬ間にどんどん増えていった。


© 2006 M.HIRATA All rights reserved.