Phono Equalizer
PHONOイコライザーとは
レコードに記録されている音信号は録音特性や再生時の雑音に考慮し、特別な周波数特性で録音されている。この周波数特性で録音されている音をアンプの LINE 端子から入力すると音量が小さく、シャリシャリした音になってしまう。これを本来の音に戻すための変換、増幅などを行う機器がPHONOイコライザー(フォノイコライザーアンプ)である。
レコード全盛時代は、プリメインアンプやプリアンプに内蔵され PHONO端子というものがあったが、最近ではほとんど省略されている。従って単体のPHONOイコライザーを最近のアンプに接続すれば、レコードが聴けるようになるわけである。
PHONOイコライザー ROTEL RHQ-10
以前から探していたPHONOイコライザーをオークションでようやく見つけ、落札した。現在使用しているパッシブイコライザー(電源なしプリアンプ)、パワーアンプと同シリーズの ROTEL RHQ-10である。発売当時、高価でとても手が出なかった品である(RHC-10の約2倍)。
日本での流通量は極端に少なかったらしく、実際、ネット検索してもほとんど海外サイトでしかヒットしない。半分あきらめかけていたので、今回の落札は本当にうれしかった。じつに15年ぶりの再会である。
これまでウチのシステムは、プリアンプ内蔵のPHONOイコライザーを使用するという、言わば仮の状態であったが、今回、単体のPHONOイコライザーの導入で、本来あるべき姿にすることが出来たことになる。
結果は明かで、入力のゲインが上がり、特に音の輪郭、音場、において予想を上回る改善がみられた。また、音のスピード感、アタック感などは、経験的にレコードプレーヤーの調整次第という印象をこれまで持っていたが、そんな調整幅は微々たるものであることを実感した。これまでも、レコードの情報をすべて拾うことをめざしていたが、PHONOイコライザー部分で情報を落としていたことを認めざるを得ない。
細かいことは抜きにして、この機器の導入により、音楽を聴いて『楽しい』『感動できる』という要素は格段に向上したと思われ、代替え品で妥協せず、手に入れる機会を待っていて正解だったと思う。
世の中には数百万円もするようなPHONOイコライザーが存在するが、今のところ自分にはこれで十分だという満足感があるし、システムのバランスからすれば、これが最良の選択であったと思っている。
六角レンチでボンネット(天板)を開ける。
自分はよくわからないが、相当強力な電源、高品質パーツを多用しているとのこと。基盤中央に並ぶ大きな4つの電解がGREAT SUPPLY(4700μF50WV)入力段に立ち並ぶのがBLACK GATE(35V470μF他)となり、これだけでも相当高価らしい。調べる限りでは、電流増幅型といわれる方式らしく、磁気歪みを軽減し、電圧のように変化しないことから、スムーズな音楽再生をする優れた方式らしい(この方式はKRELLやダイナベクターなどの高級機に採用されている)。
入力は1系統、MC(0.3mV)とMM(2.5mV/47Ω)の選択は、内部のジャンパーピン(赤色のピン)の差し替えで行う。接点の増える切り替えスイッチを付けないところが泣かせる。マニュアルにはサービスに持ち込んでくれと書いてあるが、やり方が詳細に書いてあるところを見ると、自己責任で勝手にやれ、というふうに解釈できる(笑)自分の場合、カートリッジはMCだが、昇圧トランスを使用するため現在MMに設定してある。
出力は2系統あり、1つはFIXED、もう一つはアッテネーターを介するVARIABLEとなる。これも、内部のピンの差し替えにより、両方ともアッテネータを介さないFIXEDに変更することができる。VARIABLEの場合は直接音量を調整することが可能になり、プリアンプを通さず、パワーアンプとダイレクトに接続できるのである。
こうした一連の徹底的なこだわりが感動的ですらある。妥協している部分が全くみられない。志しの高い製品とはこういうものではないだろうか?
CDとかも聴くので、FIXEDを使用しており、ダイレクト接続はしていないが、機会があれば試してみたいと思う。また、耳が慣れてきたら、昇圧トランスを介さず、MCの設定にするというのも試してみたい。接点が減るという意味では有効だと思うし、真の実力が問われるであろう。
ウチのシステムでは、単体の定価としては一番高価になるが、ラックに余裕がなくスピーカー裏に設置(汗)
今回の導入により、レコードを聴く機会が増え、針交換も含めプレーヤー全体の再調整を行った。ウチではこれまでで最高の音楽再生が可能になった。特にCDしか聴いたことのない人に、機会があればぜひお聴かせしたい。
システム再編(アンプの異動)
これまでPHONOイコライザーとして代用してきたプリアンプC-203は2階用のサブシステム行きとなり、待機中だったパワーアンプRB-870(×2台)との組み合わせで、かつての1軍が2軍として復活することになった。これによりサブシステムの駆動力番長化がさらに進み、小型のBOSEイタリアーノを鳴らすのには過剰で、まるで軽自動車に2Lエンジンを乗せたかのような状態である(爆)
また、これまで2軍のエースであったプリメインアンプA-710は九州の人に嫁ぎ、大変好評で大切に扱われているとのことである(涙)


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